film.

だれも知らないまちへふたりで

街並み

高さ何メートルから落とせば愛の塊は砕けるのか。何気圧で涙は分散されるのか。そもそも流すべき涙などあるのか。吐き出すべき感情などあるのか!ないとしたら俺は何のためにこれを書いているのか。ミャンマーの荒野を歩く少女の心とシンクロして、その風景に血でアクセントを加えるような罪深い行為。懺悔も響かない後悔も及ばない距離にあるその聖なる魂に俺はナイフを突き立てた。もうあの場所からの宅配便は死んでも届かない。泣いたって遅い。俺は何も悪くないが、何かが悪くなってしまったので、すべてが悪いところに収束してしまった。山に登ったけど、足が痛い。足の痛みは本物で、位置エネルギーは偽物かもしれない。俺が感じることのできない法則があるのは解せない。何か深い示唆を持った内容では決してない。誰にもわからなくていいけど、あなただけにはわかってほしい。今俺がどこにいるかあなたにはわからない。区役所に行こうと思っています。無限の無意味を積み重ねてそれっぽい層が誰かからの意味を屈折させて俺の目に届いて、それを俺は無意味のミキサーで分解してしまうのが悪いところ。宇宙について考えることが多い。今日の月は赤くて大きかったけど、明日地球がこなごなになって宇宙の塵になって消えても、月って残ってる? そんなことないか。街並み、知能、時間と空間、学習。存在が空間を持つのと同じで、時間を持つということについて。大量のデータを食わせた人工知能は人間よりも圧倒的に速く正確にある問いに対する答えを出せるが、時間を挟んでも新たな答えは出ない。人間やその他の知能を持つ生物が、時間の広がりを受け止めながらさらに正確な答えを導くことはできるが、今思えば機械学習で新たな答えを無限に探索し続ける人工知能もあり、それはそれで時間を持ちながら進化するといえる。あまり着目しないものの、知能と時間は密接な関係にあるのかもしれない。成果は努力(活動)の時間と効率の指数関数。未来予想図。遠い昔に見た怖い夢をまだ覚えているが、これは脳にとって何の意味があるのだろうか。絶対に成立しない状況なのに。1年1年を過ごしていたらいつの間にかこんな年齢になってしまった。高校生の時描いていた未来とは全然違っているが、現在だって高校生の延長に過ぎないといえばそれでおしまい。もうこんなところまで誰も読んでいないだろうけど。誰にも届かない手紙。空中のポスト。海底50キロで輝くマグマのような真珠。プレート。人生のエンドロールに何人の名前が書けるか?

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脇からカブトムシおじさん⑤

5.脇からカブトムシおじさんはどこだ
 それから1か月以上経ったあと、脇からカブトムシの話をしている小学生は1人もいなかった。公園では完全に手のひらからクワガタおじさんが覇権を握っていて、みんなそこら中でクワガタを戦わせていた。
 あの時僕が予感した通り、脇からカブトムシおじさんはもう公園に現れなくなっていた。そんなの誰も気にしていなかった。苦労して手に入れるカブトムシより、楽に手に入るクワガタの方がよっぽど意味があるのだ。
 でも僕はどうしても脇からカブトムシおじさんのことが心配だった。だからその日僕は手のひらからクワガタおじさんの公園にはいかないで、脇からカブトムシおじさんの家に一人でこっそり突撃してみたのだ。
「すみませーん」コンコンとドアをノックする。
 しばらく待っても返事がなく、僕はもう一度、少し強めにドアをたたいた。「おじさーん」
 返事はなかった。居留守をしているのだろうか。それなら根くらべだと僕は脇からカブトムシおじさんの部屋のドアの間に座り込んだ。
 1時間も経つと日が落ちて周りの家の電気が付きだしたが、僕が待つ部屋に光がともっている様子はなかった。誰かが動いている音も聞こえない。脇からカブトムシおじさんは、どこかに行ってしまったのだろうか? 最後に公園で見たあの姿が忘れらない。
 そうこうしているうちに門限の時間になり、結局脇からカブトムシおじさんには会えないままで終わってしまった。明日も待て来てみようと思った。

 しかし、次の日もまた次の日も、脇からカブトムシおじさんに会えることはなかった。不安が確信に変わる。
 脇からカブトムシおじさんはどこかへ行ってしまったのだ。

昔のツイートまとめ

たとえばこういうの

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人間はみんな生まれた時から決まっているBPMがあって、それが合って一緒にいるだけで旋律が生まれることを運命の赤い糸と呼んでいるのだって音楽の神様が言ってた

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「絶対に落ちないサーバー」が発売されると、ハンマーがよく売れるようになった。
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俺たちが忘れてしまった何かをすべて集めて保管しているカプセルがどこかにあるらしい。それはどこにでもあるし、どこにもない。俺たちが探しても見つからず、探さなくても見つかる。要するに、何もしなくても俺たちの元にそれはあり、同時に、忘れてしまった、記憶の彼方にそれは潜んでいる。
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「お会計こちらです」と渡された伝票には知らない文字で金額が書かれていた。しばらく凝視したが読めるわけもなく、ウェイターを読んで「読めないのですが」と伝えた。彼は少し微笑んで「こうするんですよ」と指を見たことのない動きで振ると、伝票に金額が現れた。これも人気店の秘訣なのだろうか。

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『ご利用ありがとうございます。歩きながらの仮想現実の操作はお客様どうしの衝突や仮想空間の予期せぬ融合が起こるなどたいへん危険です。歩きながらの仮想現実の操作は控えてくださるようお願いいたします。まもなく9番乗り場に15時23分発各層停車第4地下層行きが参ります。ご注意ください。』

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あの駅前の広場に立っている彼はしばらくするとたいへんな事件に巻き込まれ、解決するためのキーパーソンとなるのだが、君がこの文章を読んでいるということを考えると彼の生い立ちから説明しなければならない。なぜなら君は彼が誰なのかが気になって仕方がないからだが、ここで文字数が足りなくなる。
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「音が出ない楽器」が売られていた。試しに弾いてみると、たしかに音は出なかった。ただのポンコツじゃないか、どうしてこんなものを売っているんだと店員に問い詰めると、店員は一言、「売れるからです」と答えた。ニーズというのは、どこにでもあるらしい。

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空が落ちてきてから半年が経った。初めこそ生活に苦しんだものの、あまねく生命がこのような天変地異を何度も乗り越えてきたのと同じように、私たちは落ちてきた空にすっかり適応してしまった。しかし、落ちてきた空の上に何があるのか? 答えは、空があった空間を見上げてもなお見つかっていない。

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人を傷つける世界大会で優勝した彼はまたたく間に有名人となりあらゆるテレビ番組に引っ張りだこだった。人を傷つけてお金をもらうなんて、信じられない事態だ。しばらくして彼は自殺した。僕の予感は正しかった。彼は誰よりも優しかったのだ。

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近所に最近できたカフェに入ると、「水無しコーヒー」というのがあった。「水出しコーヒー」の間違いだろうと思って頼むと、本当に水のないコーヒーが出てきたが私の表現力ではこれ以上の説明ができないことをお詫びする。

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どうやらこの世で彼女だけが人の苦しみをわかる人間らしく、何度死んでも神様は彼女を苦しみのわかる人間として蘇らせる。そのたびに笑う彼女に胸が痛くなる僕の苦しみもまた、彼女を苦しませている。

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 歯磨きをしていると目の前に小さな指輪があらわれた。指輪は言った。「虚ろだ」歯磨きしているときの精神状態は虚ろだ。その通りだった。

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目を覚ますとそこには何もなかった。厳密に言うと「文字だけ」があった。この「目を覚ます」という行為も、僕の身体がおこなったものではなく、ただそれを意味する文字が存在しているだけだ。身体はすべて言語化されている。遠くで猫が鳴いた。この猫もまた、文字の生きものだ。 
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 君はを生み出せるのか、と面接官。 僕は一言、「海を」と答える。 「ということは、命も?」 「名も」 面接官はそこで満足したようで、僕に握手を求めた。
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 神に意見できる存在が「人の気持ちなど誰もわからない」というので、神が個人情報を消し人のこころの非対称性を解消したところ、人類は滅亡してしまった。
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 Twitterの仕様が変わっていた。見たことのないボタンが増えていたので押してみると、画面がぐにゃと曲がり、「ようこそ」という文字が浮かび上がってきた。数秒して元に戻った。今のところ何も起きていない。

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 外が寒すぎるので、家に帰ってきて、沸かさなくてもいいお湯を沸かし、用意しなくてもいいマグカップに入れなくてもいいコーヒー粉を入れ、わざわざお湯をついで飲み、なんの必要もないのに元気な声でおいしー!って言った。
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あなたはあらゆる活字を役立てるだけの知恵と力と勇気があるか?

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