film.

だれも知らないまちへふたりで

僕が調子に乗っていた話

当時承認欲求の塊だった僕がアイデンティティを獲得したのはリーダーとして任命されたときだったと思う。
今までは純粋な興味から得ていた知識たちを、誰かに認められたいために使うというゆがんだ僕がたしかな形として誰かに認められた、と思ったのは役職が与えられた瞬間だった。短期間のなんとか委員長やグループリーダーや部活の副キャプテンに取り組んだことはあったが、そんなものは名ばかりの雑用係だった。1年間、複数人のメンバーで成果を出すことを使命にそのチームをマネジメントするという意味合いでのリーダーは、初めてだった。
そういうことで先輩たちから形を与えられた僕は舞い上がり、ものすごく偉そうになっていた。
そしてその勢いで、もちろん問題に直面することはありながら、それからメンバーの助けばかり借りながら、ある程度の成果も出してしまっていた。
僕はもっと大きなリーダーに挑戦しようとして、認められた。絶好調だった。

プチトマト。

今の話は全部忘れてください。


僕は実は48歳で、今は無職です。
新卒で入った外資コンサルを3年で辞め、貯金を元手に株を始めたら大当たり。この先の人生に困らないだけの大金を手に入れた僕は、投資家に目覚める。
投資家と言えばスタートアップ、スタートアップといえばシリコンバレーということで早速シリコンバレーに飛ぶ。そこでたくさんの優秀な学生たちと出会い、僕はもう一度自分の手でビジネスに取り組むことを決意した。
まず手始めにMBAを取ろうと思い、最高峰のハーバードビジネススクールにチャレンジし、見事合格。勉強よりも人脈構築に熱心になり、成績は悪いまま卒業。そこで見つけた仲間と企業する。

そのスタートアップのある技術をグーグルに認められ、大型exitを成功。僕はまた大金を手に入れることになる。


次は、新大阪。


今の話も全部うそです。



もう書けそうな嘘が思いつきません。
では。