film.

だれも知らないまちへふたりで

伝えきること

何かを言いたいとき、たとえそれが一つだったとしても伝わるかどうかは微妙だという話。

プレゼンテーションをする機会が増えてくるにつれて、「僕が本当のところ何が言いたいのか?」がよくわからなくなってきます。資料を作りながらあれもこれもと詰め込んでいくうちに聞き手の視点なんてすっぽり抜け落ちていて、本番の聞き手の反応を見て反省する、みたいなことが多々ありました。今もあります。
どうしても独りよがりなプレゼンになってしまいます。だから事前に誰かに見てもらってフィードバックをもらうんですけど、どうも修正がうまくいかない。で前回の二の舞になったりする。
これは別に対多数のプレゼンとか発表会に限ったことではなくて、誰かの相談に乗るとか、逆に悩みを打ち明けるときとかもそうだと思っています。

たった一つ伝えられればいいだけなのに、なぜ僕たちは無駄な装飾をしてしまうのか。

たぶん、こわいんだと思います。
たった一つ伝えたいことがある。でもそれは自分の核にかかわることで、さらけ出したときの反応がもし悪いものだったら……。勇気をだして伝えてみてはいいものの、全く伝わらないかったら……。など。
だからその一つだけを伝えるのではなく、本当はどうでもいいような無駄なことまで乗せて伝える。そうすると伝わらなくてもごまかせる。「あいつらはわかってないんだ」という顔で傷つかないで済む。


しかし、世の中のすごい人はみんなメッセージは一つに絞れ、といっています。
その方が実際に伝わりやすいからというのもあるでしょうが、気持ちの問題として、一つに絞る勇気を持て、反感を買う恐怖を乗り越えろということでしょう。
なぜなら、その先にある「伝わったときの感動」はかなりの快感だからです。
100人いて3人にしか伝わらないかもしれないけど、その3人を熱狂的に動かせられれば、また次の3人が生まれます。そのサイクルでどんどん思いが広がっていく。すてきですね。

少ない経験上、メッセージが伝わったといわれるときは、自分が本気でそう思っているときで、それしか伝えなかったときです。
そういう成功体験の積み重ねが、僕を「勇気を持って思いを伝えきることができる人」に育てるのだと思っています。