こんな街抜け出してしまおうよ

だれも知らないまちへふたりで

書き物

ひまわりの海

・ひまわりの海 寒いよね。 まだ大丈夫だよ。 でもさ、こうやって、「寒いね」って言って「まだ大丈夫だよ」って返ってくるような関係はあたたかいよね。 くせー。今寒くなったから早く帰ろうよ。 寒すぎる。いっそ南半球に飛んでいっちゃいたいぐらい。 な…

The last man

・The last man 「これ、目にいいんだって」 昼休み、食堂で食事中の私の隣に座った近藤が差し出したのは一枚のDVDだ。ジャケットには海を背に仁王立ちをして いる外国人風の男の風景が載っていて、目に良さそうには見えない。タイトルは「The last man」「…

お菓子の宇宙船

・お菓子の宇宙船 ここはお菓子の宇宙船。 船体はチョコレート、両翼はクッキー。スポンジの椅子にキャンディーの操縦桿。モニターは金平糖でできていて、スイッチはカラフルなラムネ。エンジンはコーラと甘いオレンジジュース。もちろん、パイロットの宇宙…

グッドモーニング腐乱死体

目覚めるとベッドの隣で死体が転がっていた。見てすぐにわかったわけじゃないけれど、声をかけても反応しなかったので、体に触れてみると冷たかったので、やっぱり死体だったのだろう。一瞬顔が引きつったけどまあこういうこともあるだろうと考え直して、私…

スキマ時間に読める即興小説

30分とか1時間とかで書いた即興小説です。暇で暇で仕方ないとき、読んでいただければ幸いです。 「ずっとこのまま」 - 即興小説トレーニング夕日をバックに白衣の男女が雑談をするお話。 「二丁目の神様」 - 即興小説トレーニング 誰かがよりどころとしてい…

※ただし正直者は除く。

嘘はついちゃだめだよって言われてから僕は嘘をつかないように生きてきたのだけれど、ある日たろうちゃんに言われた。「嘘をついちゃいけないだなんて、嘘だよ」って。「嘘ついてもいいの?」って僕が聞いたら、「構わないよ。どんどんつけばいい」「それは…

地図だけど質問ある?

「何これ?」「地図」「見ればわかる。何で急に?」「そのペケがついてるところあるじゃん」「うん」「行ってみればいいんじゃないの」「また今度ね」「うん」 彼は私を近くの砂浜に呼んだ。深夜二時のことである。私は重たいまぶたを必死でこじ開けて何とか…

憶えていない男の憶えている話

数年前のことだ。お前つまんねーから死ねよ、ってある友人に言ったら、酒が入ってベロベロのそいつは俺の言った意味はあんまりわかっていなかったけれどけなされていることは理解しているみたいで、ギャーギャーわめきながら俺の胸倉をつかむ。俺も大概酔っ…